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GREEN KEEPER

芝へのこだわり

COMMITMENT for grass

ボールの転がるその先へ。

芝と向き合う365日。
達成感と誇りに満ちた
グリーンキーパーの仕事

兵庫カンツリー倶楽部のグリーンキーパーが語るのは、
単なる芝管理を超えた“プロの現場”。

一年を通じて行われる精緻な作業、
その積み重ねが大会開催時の美しいコースにつながります。

「今日のグリーン、状態よく仕上がってたね」と
お客様から評価された時の達成感は、何にも代えがたい喜び。

その一言が、モチベーションを生み出し、
スタッフ全体の士気も高まります。

芝の手入れは
季節ごとの変化に対応する繊細な仕事。

春先から始まり、
夏場の高温対策、秋の病害虫対策、冬の凍結防止まで、
365日気の抜けない作業が続きます。

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INTERVIEW

「芝はタイミングを逃すと、一気に成果が落ちる。105%でやれるはずが、90%、80%になってしまう」

芝の生育には適切な時期があります。たとえば肥料を撒くタイミングや刈り込みの周期、散水のタイミングなど、ひとつひとつの工程が最適なタイミングでなければ、全体の仕上がりに大きく影響します。そして、それを実行に移すには十分な人員と、それを支える予算、さらには現場を理解し協力してくれるオーナーの存在が不可欠です。
また、重機作業など危険を伴う場面も多く、ほんの一瞬の油断が大事故につながるリスクもあります。「足の指を失いかけた」「死ぬ思いをしたことが何度もある」──その経験から、若手への技術伝承と安全管理の重要性を深く実感し、現場では常に“命を守る設計”を意識して動いています。

“見えない努力”が生み出す、一流のグリーン 「グリーンがいい」と一言で言っても、それは日々の積み重ねの結果です。毎朝の刈り込み、高温期の水管理、病気の兆候に対する素早い対応──すべてが組み合わさって“転がりの良いグリーン”が完成します。

とくに中級者以上のゴルファーは、グリーンの仕上がりに敏感です。スピード、傾斜、芝の密度や健康状態まで、わずかな差をプレーの中で見抜きます。かつてワールドカップで見た“フェアウェイ一方通行刈り”に衝撃を受け、「あのレベルを日本でも体感させたい」と語るその情熱は、兵庫カンツリー倶楽部のグリーンにも現れています。

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若い世代を育てる、チームの中心としての覚悟

「チーム全員が同じ方向を向くと、現場は一気に良くなる」

芝管理の現場は、ひとりでは回りません。だからこそ若手スタッフの育成には特に力を入れています。単なる作業員ではなく、“考えて動ける職人”を育てる。そのために、現場での実演、理由のある指示、そして成功体験を積ませることが重要だと語ります。

過去にはアウトソーシングで品質が安定せず、独自提案によって自社運営体制に切り替えた経緯があります。「他人任せではなく、自社スタッフが一丸となって管理することで、品質は必ず向上する」との確信のもと、今も日々“育成”と“現場管理”を両立しています。

“商品”としてのコース。命を懸ける芝管理 グリーンキーパーの視点では、ゴルフコースは“商品”です。どんなに立派なクラブハウスがあっても、コースの仕上がりが伴わなければ意味がない。殺虫・殺菌剤の適切な使用、季節ごとの肥料の与え方、湿度や水分バランスの調整など、一つひとつの作業が“品質”を決定づけます。

さらに、プレー中の静音環境を整える防音対応や、排水や舗装といった土木的な作業も守備範囲。管理とは名ばかりではなく、実際の工事や調整に自ら関わりながら、“芝の命”を守り、磨き上げることを信条としています。

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P R O F I L E

仲 次郎

Naka Jiro

グリーンキーパーという仕事は、春先から始まり、夏場の高温対策、秋の病害虫対策、冬の凍結防止まで、一年を通じて行われる精緻な作業を行います。
季節ごとの変化に対応する手入れの積み重ねが、大会開催時の美しいコースにつながります。
グリーンキーパーは“一流の舞台”を陰で支え続けています。

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プロの要望に応える、柔軟かつ精緻な対応力

かつてはプロゴルファーから
「グリーンは3.6mm、フェアウェイは8mm、ラフは55mm」
といったミリ単位の要望が寄せられ、昼夜を問わず対応に追われていた時代もありました。今では多少緩やかになったとはいえ、コースへの“見る目”は変わっていません。

男子プロは特にグリーンのスピード、傾斜、フェアウェイのコンディションまで細かくチェックし、それがスコアに直結します。現場では、「お任せします」と言われた時ほど責任の重みを感じると語ります。かつての師匠・日比野氏は、プロの要求に応えるため夜を徹して作業した伝説のような人物。その精神が、今の管理現場にも受け継がれています。

肉体・精神を削る、真夏の一か月 大会前の一か月間は、年間で最も過酷な期間です。連日の作業、限られた時間、絶対に妥協できない品質基準。寝る間も惜しんで現場に立ち、食事すら忘れることも。体重が8kg以上落ちるのは、もはや毎年恒例のことです。

それでも、「プレーヤーがコースを見て驚く瞬間」を思い浮かべると、疲れも痛みも乗り越えられる。時には著名人からの無理な要望にも柔軟に対応しながら、“一流の舞台”を陰で支え続けています。

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“第二、第三の人生”としてのグリーンキーパー

「第二、第三の人生は、この仕事に捧げている」

68 歳を迎えた今も、現場の最前線に立ち続ける姿は、まさに“生きる職人”。キャリアの集大成として、若い世代への技術継承に力を注ぐと同時に、次なるコース立ち上げへの意欲も口にします。

年齢を重ねてもなお“やるべきことがある”と感じられる現場。それがグリーンキーパーという仕事の魅力であり、生きがいなのです。

結びに──見えない努力が、今日の一打を支えている 兵庫カンツリー倶楽部のグリーンキーパーが支えるのは、ただの芝ではありません。
そこには、日々の積み重ねによる品質、プロの期待に応える精度、若い世代を導く姿勢、そして自然と真摯に向き合う覚悟があります。
自然を相手に、命を懸けてつくりあげる“最高の商品”としてのコース。その舞台裏には、肉体と精神を削りながらも、自らの技術と誇りをかけて挑む職人の姿があります。
美しいコースの裏側にある、確かな仕事と想いを、ぜひ感じてください。